散るろぐ

こころふるえる感情メディア

女性の武勇伝

痴漢、ナンパ、ストーカー。

女性の日常は様々なトラブルにさらされている。でも、それを女の子が語るとき、どこか武勇伝に聞こえてしまう。むろん、そんな軽々しいものじゃないと思う。彼女たちは本気で、傷つき悩んだ末に、やむにやまれず心情を吐露しているのだ。

僕が20代のころ、アルバイト先にそんな話題を披露するストーリーテラーがいた。彼女は定期的に、何かしらの被害にあっていて、僕はそれを聞く役割だった。

初めは、しつこいナンパに遭って、とても迷惑したエピソードだった。そのときの僕は、親切心から、彼女の服装や行動について忠告めいた発言をしてしまったのだけど、それは彼女の気分を著しく害してしまったようで、それ以降は、忠実な聞き役に徹するようになった。

僕は立場上、自分の感情より、業務の円滑な遂行を優先しなければならなかった。

彼女は、その後もだびたび被害に遭って、その都度、僕や他のみんなに、その心情を訴えていた。

僕がもっともインサイトをえぐられたのは、彼女の下着が盗まれた話しだった。痴漢のときはそれほど詳細ではなかったけれど、ことが身体的な部分から切り離されたことで、タガが外れてしまったらしく、その話しは詳細かつ赤裸々だった。

彼女は、なにが、どこで、どのように起こったか、購入した経緯から思い入れ、紛失に至るまでのシチュエーションを克明に再現してみせた。

そもそも、マンションの一階にある庭に、下着を干していたら、無くなるのは予測がつきそうな物だけど。

そんな話題が、彼女の口から繰り返されるうちに、僕は、ある疑念を抱くようになった。彼女は、男性から付きまとわれたり、痴漢に合うことを、むしろ喜んでいるのではないか、という疑念である。

同性から見たトラブルの告白

彼女の災難エピソードは、同じ職場の女性にも極めて評判が悪かった。みっともなくて聞き苦しいという苦情であった。

とあるナンパ師によれば、ナンパに引っかかりやすい女性は明確に分類されているという。それは、めぐりめぐって、すべての女性の尊厳を傷つけるものだった。

詰まるところ、バカっぽく見られている、ユルそうに見られている、ということの証左であり、同じ女性として恥ずかしいという感情が沸き起こるようだった。

雑感

確かに、被害は、迷惑であったり、犯罪行為であったりする。

しかし、被害に遭った女性は、どんなに精神的不快感を抱いたとしても、それをところ構わず公表するのは、やめた方がいいように思う。

人の口に戸は立てられないと言うけれど、聞き苦しいものである、ということだけは頭の片隅に留めておいてもらいたい。