散るろぐ

僕のすべてを伝えたい。心ゆさぶる感情メディア

あたしのシューマイが無い!


こんちにちは。975人の読者から熱烈に支持される売れっ子ライターのチルドです。

小学校のときの話です。

僕のクラスの担任だった小川先生は、ちょっと神経質な笑い方をする、30代の女性の先生でした。

ある日の給食の時間のことです。いつものように、僕たちが、わいわいとおしゃべりをしながら給食を食べていると、前の引き戸をガラガラと開けて、担任の小川先生が教室に入って来ました。

先生はいつも給食の時間は、少し遅れてくるので、誰も気にする生徒はいませんでした。そして小川先生は、いつものように、教壇の席に座り、みんなと同じように給食を食べはじめたのです。

そのときです。

先生がとつぜん、アーッと悲鳴をあげたのです。

クラスのみんなは、一瞬、会話を止め、一斉に教壇に目を向けました。

そこには、箸をもった手を、わなわなと震わせる小川先生の姿がありました。

僕には、まったく、事情が飲み込めず、小川先生の硬直した視線の先と、震える箸を、交互に見ていました。

「あたしのシューマイが無ーい!!」

小川先生は叫びました。

そうなのです。今日の給食のおかずは、シューマイだったのに、小川先生のトレーには、なぜかシューマイが配膳されていなかったのです。


f:id:cild:20160307202708p:plain


僕はそれでやっと事情が飲み込めました。同時に、今日の給食の当番が、自分では無かったことに、ホッと胸を撫で下ろしていました。

ホッとしたのも束の間、今度は小川先生が大きな声で泣き始めたのです。

「あ、あたしのシュー、マイ、ひっく、ひっく、シューマイが、シューマイがなーい!」

僕は驚きでポカンと口を開けて、先生を見つめていました。他のみんなも、いったい何が起こったのか、まったく理解できずに、泣きじゃくる小川先生を見ていました。

すると、騒ぎを聞きつけた、となりのクラスの先生が入ってきて、泣き捲くる小川先生を教室の外へ、連れ出して行ったのです。


それっきり、小川先生は、学校に来ることはなく、担任も変わってしまいました。そして、年度末には、学校の先生を辞めたらしいと聞きました。

原因は、もちろん、シューマイが無かったことではなく、クラスの指導について悩んでいた、とのことでした。

そう言われてみると、小川先生が担任になったクラスは、授業中に生徒がグラウンドで遊んでいたりした記憶がありました。

今で言う、学級崩壊のような状態だったのかもしれません。そして、小川先生の積もりに積もった苦しみが、シューマイを引き金にして爆発してしまったのでしょう。

僕は今でも、シューマイを食べるたびに、優しかった小川先生を思い出して、すこし泣いてしまうのです。


乱文ご容赦くださいませ。お読みいただき、ありがとうございました。




今週のお題「給食」