散るろぐ

僕のすべてを伝えたい。心ゆさぶる感情メディア

警備員がにらみつけてくる

スポーツジムの帰り道、とあるパチンコ店の前を通るのだけど、その店の駐車場でクルマの誘導をしている警備員がにらみつけてくる。

それも、まるで、親のカタキを見るような、憎悪と怨念に満ちた眼差しなんだよ。

その警備員のことは、まったく知らないのだけど、思い当たるフシがないワケじゃない。


あれは去年の12月、スポーツジムで気持ちよく汗を流して、意気揚々と家路につく途中だった。

前日に投稿した記事が、思いのほか反響があって「やっぱり僕は天才ライターなんだなぁ」なんて、僕はニヤニヤしながら歩いていた。

そのとき、ふと視線をあげると、件の警備員と目があってしまったんだよ。

僕は、ひと風呂あびて、サウナも入って来たから上機嫌だった。

いっぽうの警備員は、寒さに背を丸めて、かじかむ手をこすりながら、白い息を吐いていた。家から締め出された少年のように、鼻をすすりながら、今にも泣きだしそうな目をしていたんだ。

お祭り気分でハッピーな僕と、夜間の駐車場で誘導灯をふる警備員。パチンコ店の明るすぎるネオンが、その明暗をやけにクッキリと映し出していた。

そのとき、ニヤニヤ顔の僕と、警備員の男性の目があってしまった。瞬間、沸きあがるような、僕へ向けられた憎悪と怨念のまなざし。

もしかしたら見下されたと感じたのかも知れないね…。

それ以来、僕がそこを通るとき、アイツは僕をにらみつけるようになった。

ときには、誘導灯をみぎ手に持ちかえて、手のひらにバシンバシンと打ちつけ、駐車場のポールを小突いたりする。

また、僕が通ろうとすると、前に立ちふさがり、車や自転車を先に誘導したりする。

そして、なんの挨拶もなく所定の位置にもどると、あの目でにらみつけ、誘導灯を手でバシン、バシン、とやるんだ。

そもそもの発端は、偶然の産物(たまたま目が合っただけ)なのに、気がつけば、警備員を見下した僕と、それを恨む警備員という、微妙な構図が出来あがってしまった。

警備員という職業が、見下されるような仕事だと、僕は思わない。

往来するひとびとの動きは不規則で、予測がつかないから、どうしても人の目で判断する必要がある。場合によっては、声かけで注意を促したりして、危険を予防したりもできる。

つまり、安易に機械が代替できる仕事じゃないんだ。

いっぽうで、誰にでもできる仕事でもある。一般的な成人男性であれば、基本的に不採用になることはない。

機械には置き換えられないけれど、人間なら誰でもできる。それが、警備員という職からプライドを奪っているのだろうか。

容易に取り替えがきくのは、何も警備員に限ったことじゃない。僕のやっている販売員だってそれは同じだ。マクロに見れば、ひとに寿命がある限り、取り替えの効かない職業など、存在しない。

しかし、道路の片隅に立つ警備員は、否が応にも人目につくため、その現実をリアルに可視化してしまう。

だから僕は、にらみつけてくる警備員を、逆ににらみ返すようにしている。

プライドを喪失しているのはお前だけじゃない。

甘えるな。