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大江健三郎著「死者の奢り・飼育」を読んでみたよ

おはよう。

きのうは、ひとり静かに本を読んでたよ。なんと言うか、SNSとか、インターネットのくだらなさに、ほとほと疲れてしまって…。

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この本は、どこかのブログで紹介されていて、半年前にポチっていた。率直に言って、めちゃくちゃ面白かった。こんな質の良い物語りがあるなんて、インターネットも捨てたモンじゃないよね。


本の中身は、五話の短編(死者の奢り、他人の足、飼育、人間の羊、不意の唖、戦いの今日)に分かれている。手にとったときは、勝手な印象から、ドグラ・マグラのような長編だと思っていた。


まず「死者の奢り」。最高だった。あらすじは、ふつうの大学生がアルバイトで、医学部の解剖用の遺体を、水槽から別の水槽へ移動する、という内容。

初っ端からトラウマになりそうなのに、それを読んでいるこっちに押し付けてくるから、大江健三郎おそるべしだよ。やめてよ。

まるで自分が水槽に沈められて、窒息するような閉塞感だった。


続いて「他人の足」は、脊髄カリエスという病に冒された青年についての物語り。脊髄カリエスは、病名で、結核菌が脊髄へ転移して、歩けなくなる病気。

結核については、少しは知ってたけど、病状が進行すると、こんなことになってしまうんだよ…。

ウィキペディアで知った。こうゆうのをすぐ調べられるから、インターネットも捨てたモンじゃない。


三話目は「飼育」。終戦間際に、墜落したアメリカ軍の戦闘機を山刈りして、黒人パイロットを捕虜にする話し。

腑に落ちないのは、捕虜にした黒人パイロットの足枷を外すとき、村の大人が、だれも注意を促さなかったこと。脱走の可能性はもちろん、結末についても、そうなることは、大人なら容易に想像できたはずなのに…。




「人間の羊」は、舞台を戦後へ移して、進駐軍と日本人の様子について書いてある。僕の知ってる、やたらと人間を羊にしたがるのは、村上春樹なのだけど、これに影響受けたのかな。

この物語りは、とくにホラー。執拗に正義を主張する「教員」が、心底おそろしい。

お前の名前をつきとめるまで、俺は決してお前から離れないぞ

さっこんの二次被害なんかの文脈で語られるのは、こんなことなんだろうか…。


「不意の唖」
こちらも、戦後の進駐軍がらみ。でも、主人公は日本人の通訳。これがまた、絵に描いたようなクズで嫌になるよ。


「戦いの今日」
こちらも戦後のお話。軍を脱走する米兵と娼婦、それを匿う学生の兄弟というシチュエーション。兄と弟の感情が高度で、イマイチ共感できなかった。



まとめ

日本人にも、まだまだ僕の知らないストーリーテラーがいるね。

読み終わっても、また読みたくなったから、今度、著書をまとめて買って、ぜんぶ読んでみるつもり。

それで思ったのだけど、日本の文学は、人間の醜さを書いたものが絶賛される傾向にあるなぁと。海外の文学には、わりと良いエピソードも多い気がするのだけど。

一方で、日本の、映画、テレビ、音楽、インターネットでは、良い話というか、感動コンテンツが大人気なんだよ。この辺りに、日本人の屈折した何かがあると思うのだけど、考えすぎかな。



大江健三郎読んでみたよ、という話題でした