散るろぐ

ここが僕のアナザースカイ

ただいま名刺を切らしておりまして


日本には名刺って文化があるよね。幅10センチくらいの長方形で、名前やら会社名やら肩書きやら電話番号やらを記したちょこざいなやつ。

僕は、生まれてこのかた、名刺をもったことがないんだよ。別にロックな主義とかじゃなくて、アルバイトに名刺を作らないのと同じ理屈で、ブルーカラーの仕事ばっかりしていたから、支給されなかったんだよ。

だから、僕に名刺をポイと渡されても、お返しするモノがない。名刺くらい渡すべき場面でも、ヘラヘラして流すしかない。だって、会社からもらってないのだもの。

そのとき僕は、なんと答えればいいのか、いつも悩んでしまう。名刺はもっていません、と言ったら、僕が忘れた(渡したくない)みたいだし、僕の名刺は会社が作ってません、と言ったら、相手に「名刺も持っていないヤツを寄越したのか」と思われてしまう。ましてや、ただいま切らしておりまして、なんて言ったら、相手だけじゃなく自分にもウソをつくことになる。

普通は、名刺くらい、社員を雇ったときに支給しろよと思うのだけど、そんな会社ではないんだ。だから僕も、名刺を作ってくださいなんて、面倒だから言いたくない。

こんな僕を、君は恥ずべき人間だと思うかな。まともな会社に勤めていない豚野郎だと嘲るのかな。世間は僕を自己責任だと責めるかな。

名刺を作らない会社が悪いのか、名刺も作ってもらえない僕が悪いのか。いや、僕は名刺なんか欲しくない。名刺なんかいらないんだ。