散るろぐ

ここが僕のアナザースカイ

ネコにエサをあげるな

僕の住んでるワンルームは、5階建てのコンクリートで、1階の入口にはみんなのポストがあって、その左右が植込みになってる。

でも、植込みが、ポストの裏まで土になってるせいで、野良ネコの寝床になっていて、ときどき僕のまえを白いネコが、シャーっと横切って、ポストの裏へ飛び込んでいくのを何度か見かけた。

f:id:cild:20180116102148p:plain

それは別にいいけど、そのネコどもが、どうもその裏で、子猫を育てたり、排泄をバリバリしているらしく、雨でジメジメしたりすると、強烈なオシッコのニオイで鼻がもげそうになる。

「このニオイ、どうにかならないのか…」と思いつつも、そこは僕の土地ではないから、勝手にどうにかするわけにもいかない。責任があるのは、マンションの管理会社だから、そっちが、定期的に掃除したり、フェンスを張ってネコを入れなくするなりしてくれないと。

ただ、それを僕が電話して、対処してほしいと言うのもなんだか面倒で、臭いなあと思いつつも、我慢して過ごしていた。

そんなある日、車でうちの近所を走っていたら、大きい灰色のコートを着たおばさんが、しゃがんで地面になにかをまいていた。

夜の7時過ぎで、暗くて顔はわからなかったけど、うちのマンションでは見かけたことのないおばさんだった。

それから、駐車場に車をとめて、ウチへ戻ってみると、さっきのおばさんがしゃがんでいた辺りに、ネコどもが群がっていた。あの白いネコもいた。ポストの裏を寝床にしているアイツだ。

それが、一心不乱に地面に撒き散らかされた、魚の骨っぽいものや、ドックフードのようなような固形物を食い散らかしていた。

僕は、足音をたててネコの群れに割って入ると、思いきり蹴り散らかして、強制的に解散させた。すると、ニ匹は車の下へもぐって、一匹はフェンスにピョーンっと飛びのって、こっちを見下ろしている。もう一匹は、フーッと威嚇しながら側溝に飛び込んだ。そして、白いヤツは、僕の脇をサッとすり抜けて、ポストの裏へ逃げ込んだ。

そこですべてを悟った。

あのおばさんが、野良ネコを餌付けしているせいで、ウチのマンションに野良どもが集まっていたのだ。僕は、絶対に注意してやろうと思って、辺りを探したけれど、もうおばさんの姿は見当たらなかった。

だいたいおかしいと思っていた。なんでウチの近所だけ野良ネコが多いのか。どうして増えていたのか。ぜんぶ、あのおばさんが、野良ネコのブリーダーになって繁殖させていたのだ。

僕だってネコはかわいい。でも、糞の始末もせずに放し飼いにするのは、あまりにも無責任じゃないか。ちゃんと世話する覚悟もないのに、エサを与えて集まってくるネコに愛着を覚える。僕はそのおばさんの利己的な自己満足に、無性に腹が立った。

なにか、エサを与えるのを、法律で罰することができないか、警察に通報して牢屋にぶち込んでもらえないかとか、いろいろ考えたけど、ただエサをやっただけで、オシッコをするのはネコだから、いくらでも言い逃れられてしまう。

でも、その原因を作っているのは、間違いなくおばさんにあって、エサさえ与えなければ、ネコは集まってこないし、増えることもない。そもそも、なんでウチのマンションの玄関でエサをまくのか。お前の家の玄関にまけよと思う。

こんど見つけたら、そう言ってやろう。

「エサをやりたかったら、自分の家の布団のうえでやってくだださい。そうすれば、僕たちがどれほど迷惑しているかわかるでしょう?」絶対にそう言ってやる。

いや、そんな生易しいことじゃ、はいはいと言って逃げるかもしれない。いっそのこと、おばさんの足をバットで痛めつけて、この辺をウロウロできないようにしてやろうか。いや、それは過剰防衛だからマズいか…。

そんなことを、ぐるぐると考えながら、さっきからときどきベランダへ出て、おばさんがエサをまきに来ないか見張っている。

こんど見つけたら、ただじゃすまさないぞ。