散るろぐ

ここが僕のアナザースカイ

あかもくを食べたらお腹がズルズルになった

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3日前、食卓に「あかもく」というナゾの海藻がのっていた。小ぶりな小鉢に、のっぺりと沈殿した緑とも茶色ともつかないような糊状のそれは、なんとも不気味で、一見するにとても食物には見えない代物だった。


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それは、食事をおえても、まだテーブルの隅にかたくなに居座って、一向に動く気配もない。それどころか、まるでこちらの偏見を見透かしたように、ドロドロとした風体でもって、こちらをねめつけるのである。

いつまでも、そうやっていにらみ合っているワケにもいかず、意を決して小鉢をつまむと、持ちあげて匂いを嗅いでみた。意外にも、それは無臭で、ポン酢のすっぱい匂いが、微かに感じられるのみであった。


聞けば「フコイダン」なる成分が、特別にカラダに良いという。しかし、これが本当に食べられるとはまだ信じられず、もう一度テーブルに置いて、窓の外を眺めた。

何気なく、下くちびるをつきだして、ふーっと息をはくと、伸びはじめた前髪がゆれた。そして、視線を落とすと、あかもくも、こちらを上目遣いで見返していた。

そうやって、心の整理がついたところで、ようやく箸をつけた。まずはシェイクしてやろうと、箸を突き立てグルグルとしたところ、なんと箸にくっついてきた。シェイクどころか、ますます固着してしまったようであった。

これほどの粘性をもった食品が、過去にあったろうか。自然薯のようでありながら、もっとウェットで湿り気のある、納豆のような粘性。

仕方なく、器から啜ってみた。その瞬間、まるで口の中で風船がふくらむように、ドロドロとした食感が広がり、むやみに噛むと、鼻から吹き出しそうであった。

やむを得ず、そのまま飲みこみ、残りのあかもくを器のフチで引きはがした。すると、納豆のように幾筋もの糸が伸びてしまって、これはなんだ、これはなんだと、振り回しても、いっこうに切れる気配もない。これほどまでの、伸びと粘りはなんだろう。

奇妙な食感とは裏腹に、味はさっぱりとして食べやすかった。「もずく」に近い昆布味ながら、深い滋味を内包していた。しかし、こんなズルズルを、体内に入れてもいいものだろうか。一抹の不安を覚えながらも、残ったあかもくを、ズズズーっと飲みこんで、食事をおえたのである。


そして翌日、お腹がズルズルになっていた。それは便意というより、腹痛にちかい。急いでトイレへ駆け込むと、和式にしゃがんですました。すると、なんだかベロベロの便がベタっと広がっていた。最初だから、こんなもんだろうと、妙になっとくして、トイレの水を流した。

しかし、次の日も、またその次の日も、便がベロベロなのだ。あの固く締まった一本物は、どこへいってしまったのだろう。いつか戻ってくるのだろうか。僕は、ベロベロになった便を見下ろしながら、そう思った。